定期借家契約とは?メリット・デメリットと注意点を不動産のプロが解説

PR

人が生活を送るためには住居が欠かせません。ただ、住居が必要といっても、購入するとなると高額の資金が必要です。

その点、賃貸ならば初期コストを安くして住まいを借りることができるので、お得ですよね。

安く住まいを手に入れるなら、定期借家契約はオススメです。

ただし、定期借家契約には、賃貸契約にはないデメリットがあるので注意が必要です。

今後、定期借家を利用する予定があるという方は、賃貸契約との違いについてしっかりと調べておきましょう。

今回は定期借家契約とは何か、その特徴とメリット、さらにはデメリットや注意点などを解説します。

定期借家契約とは?

定期借家契約では、賃貸借契約同様に、家を借りることができます。

ただし、賃貸借契約と違って定期借家契約の場合、契約で定めた満期を迎えると、契約が終了し、更新ができません。

要するに、満期を迎えたら確実に家を出て行かないといけない契約ということですね。

これが賃貸借契約の場合、借り主が希望すれば契約を更新し、継続して住み続けることができます。

たとえ貸し主でも、借り主が希望している以上、正当な事由がない限りは契約の更新を拒絶できず、解除もできません。

賃貸借契約というと、貸し主の方が立場が強いように思われがちですが、一旦契約が結ばれると、借り主も法的に保護されるのですね。

ちなみに賃貸借契約における正当な事由というと、家賃を頻繁に滞納するなど、貸し主との信頼関係が崩壊するほどの素行不良が該当します。

ただし、素行不良といっても、証拠がないと正当な事由としては認められ難く、なんとなく嫌な人だから更新を拒絶するということはまず認められないでしょう。

しかし、定期借家契約ならば、満期の到来と共に契約が終了するので、たとえ借り主が更新を主張しても貸し主の一存で再契約を拒否できます。

このような契約の更新義務のない定期借家の制度は「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」に定期借家権が取り入れられたことを背景に誕生しました。

契約の更新義務がない借家制度を活用することで、日本に多く存在する空き家を有効活用することができるでしょう。

定期借家契約では、1年未満の契約も可能です。

そのため、1年未満の短期での滞在先を探している方には定期借家は非常に相性の良い物件となるでしょう。

貸し主としても、契約期間が満了すれば確実に退去してもらうことができるので、空き物件などを貸すハードルが低くなるという利点があります。

例えば、将来売却する予定のある空き物件があるけれど、売却するまでに猶予があるので、それまでは賃貸して有効活用したいというケースなどが、まさに定期借家契約を活かせる典型的なケースですね。

賃貸借契約ともなると、一旦借り主が住み続けると、契約の更新が続く限り退去してもらえず、住宅の売却ができなくなってしまいます。しかし、定期借家契約ならば、そのような心配は無用でしょう。

賃貸借契約と違って更新がなく、確実に契約を終了させられる、それが定期借家契約の最大の特徴です。

関連記事⇒家を売る時に必ずやるべき12のポイントを不動産のプロが解説!

スポンサードリンク

定期借家契約のメリット


定期借家契約には、賃貸借契約にはないメリットがあります。

そのメリットというと、更新がないので期間限定で空き物件を貸せる、素行不良者の迷惑行使を防止できる、家賃の相場が安い、など。

まず定期借家契約には、更新がないので、貸し手は期間限定で物件を貸し出すことができます。

契約の期間は1年未満でも大丈夫なので、長期にわたって家を空ける間、物件を貸し出すということも可能ですね。

借り手としても、単身赴任のため1年間だけ借りたいなど、短期での滞在を予定している方にとって定期借家は利用しやすい物件です。

契約の更新が無いと言いましたが、更新ができないわけではありません。

貸し手が合意すれば、再契約を結ぶことで継続しての利用は可能です。

そのため、貸し手としては迷惑な人や素行不良の人だけを契約終了時に退去してもらう一方で、良好な借り手だけと再契約を結ぶなどの取捨選択をすることで、そこで暮らす人達の質を良くすることができます。

いくら正当な事由がないからといって、素行不良な入居者がいると、物件内での雰囲気が悪くなってしまいます。

ひいては、マナーの良い入居者が迷惑行為を嫌って出て行ってしまうとなると、ますます物件の治安が悪くなる恐れがあります。

例えば、深夜まで騒ぐ住人や、マンション内でのルールや規則を破ってゴミを出す住人などが多いと、近隣からのクレームが増え、貸し手としても悩まされることになるでしょう。

しかし、契約更新時にこのような迷惑な人や素行不良な人に出て行ってもらえれば、迷惑行為などのトラブルを減らせます。

これらの利点に加えて、定期借家契約は相場よりも賃料が安く、初期コストも賃貸物件と比べて安いなどのメリットがあります。

定期借家契約の物件は更新がなく、利用できる期間が限定されているということもあってか、相場よりも家賃が安く設定されていることが多いです。

そのため、できるだけ安く、短期での滞在を求めている方からすると、定期借家は経済面でもメリットのある物件となるでしょう。

さらに、更新がない契約なので更新料もかからず、礼金も発生しないことが多いので、初期コストが安いです。

退去時においても費用が安く済むことが多いので、賃貸契約の物件と比べれば安く利用できるでしょう。

特に、建て替えを前提にしている定期借家の場合、退去後に家を建て替えるということもあってか、初期コストや退去時のコストが安くなりやすいです。

定期借家契約は、空き物件を短期間だけ有効活用したいという貸し手だけでなく、短期間での滞在先を必要としている借り手にとっても、メリットのある制度なのですね。

定期借家契約のデメリットや注意点


定期借家制度には確かにメリットもありますが、デメリットもあるので注意してください。

定期借家契約のデメリットというと、更新や再契約は原則できない、中途解約に条件が課されやすい、など。

まず、定期借家契約には更新がないので、満期後の利用は原則としてできません。

借り手が再契約を望んでも、貸し手が合意しないと、契約終了後の入居は認められません。

長期での生活を求めている方からすると、契約の更新や再契約が原則できない定期借家契約は、相性が悪いということですね。

このように長期での利用に向いていない定期借家契約なのですが、では途中でも簡単に退去できるのかというと、それも違います。

というのも、定期借家契約では中途解約に対して条件が課されることが多く、いくら借り手が中途解約をしたいと望んでも条件次第ではできない恐れがあるのですね。

定期借家契約を中途解約するとなると、場合によっては残り期間の賃料を請求される恐れがあります。

中途解約の可能性がある場合は、どのような条件なのか、借り手は必ず確認しておきましょう。

ただし、転勤や親族の介護、病気やケガなどの療養など、やむを得ない事情があるならば中途解約ができます。

もしも中途解約をするなら、1ヶ月前より申し入れをしておきましょう。

中途解約の申し入れから1ヶ月が経過すると、定期借家契約を終了できます。

これらのデメリットに加え、定期借家契約には再契約をする度に保証契約を求められるなど手続きが面倒になる、設備や建物が古い場合が多い、などのデメリットがあります。

定期借家契約だと自動更新ができないので、再契約をするにしても毎回保証人を用意しなければならず、手続きが面倒です。

さらに、定期借家の制度は空き物件を有効活用したいという貸し手が利用することが多いということもあってか、取り壊し予定の物件なども含まれています。

取り壊し予定のある物件というのは決まって古い物件であることが多いです。

特に家賃の相場が安い物件ともなると、その傾向は特に強いでしょう。

家賃や初期コストが安い物件の場合、古い物件である可能性が高く、設備などについてはあまり期待しない方が賢明ですね。

定期借家契約では契約書は必須

定期借家契約の特徴は、更新がないことです。

そして、この更新がないという旨は、契約書に必ず明記しなければなりません。

契約書だけでなく、貸し手は借り手に対して必ず契約前に更新がないことを伝えなければなりません。

更新がないことを契約書に明記、そして更新がないことへの説明、この2点が守られていないと、定期借家契約として認められなくなってしまいます。

もしも契約書に更新がないことが書かれていないなどの不備があった場合、定期借家契約は認められず、賃貸借契約として扱われます。

つまり、更新がないことを知らない場合、もしくは契約書に書かれていない場合、借り主が更新を主張すれば、賃貸借契約同様に更新できるということですね。

このような事情もあってか、定期借家契約には契約書が必須となります。

空き物件を定期借家として有効活用したいと考えているのであれば、必ず契約書を用意してください。

定期借家契約の契約期間に上限はあるのか?


定期借家契約は、1年未満での契約も可能なのですが、では上限についてはどうなっているのでしょうか?

短期の滞在に向いている定期借家契約ですが、実は契約期間において上限に関する定めはありません。

要するに、貸し手が合意すれば、1年以上の契約も可能ということですね。

ただこの契約期間についてですが、しっかりと契約期間を明記しておかないと、定期借家契約として認められない恐れがあるので注意しましょう。

契約期間は何年の何月、何日までなど、詳しく日数を指定しておかないといけないということですね。

1年以上の滞在を予定しているにせよ、定期借家契約を結ぶのであれば、必ずいつまでを契約期間にするのか、期間を設定してください。

定期借家契約の契約期間が終了する際の注意点

定期借家契約を結び、契約期間がもうすぐで終了するという場合、必ず借り主に満期を迎えることを通知してください。

契約期間が満了することを知らせる通知を怠ると、定期借家契約から期間の定めがない普通借家契約に変わってしまうからです。

ただし、契約期間が1年未満であれば、満了の通知は不要です。

契約期間が1年以上の場合は通知が必須なので、忘れないでください。

定期借家の探し方

契約を更新できないなどのデメリットがある定期借家ですが、他方で相場よりも安く、更新料や礼金などのコストが安いなど、経済面でのメリットは非常に多いです。

短期間での滞在先を求めている方には都合の良い物件なのですが、果たして定期借家はどうやって探せば良いのでしょうか?

まず、定期借家は不動産の総合情報サイトなどで検索することができます。

定期借家のオーナーは意外と多く、調べたいエリアで定期借家を検索すれば、多くの物件を見つけることができるでしょう。

基本的な探し方は通常の賃貸物件と同じとなります。

ただ、定期借家には更新がないので、契約期間を延長したいなら、再契約が可能かどうかを必ず調べてください。

条件に見合った物件が見つかり、定期借家契約を結べば、契約期間が終わるまで入居することができます。

定期借家を探す際の注意点

定期借家には、賃貸借物件にはないメリットがあるのですが、いざ定期借家に入居する際にはトラブルに遭遇しないように注意しましょう。

定期借家の注意点というと、契約書はあるのか、中途解約は可能か、再契約はできるのか、など。

定期借家契約を結ぶためには、契約書が必須です。

さらに、契約書には更新がないことを明記しなければなりません。

契約書があっても、更新についての記述や、契約期間の詳しい時期が書かれていない、定期借家契約として認められません。契約を結ぶ際には、必ず契約書があるのか、チェックしてください。

さらに、中途解約をする場合の条件も確認しておきましょう。

定期借家契約には確かに更新がありませんが、その一方で中途解約は原則としてできないです。

もしも中途解約の可能性があるなら、中途解約ができるのか、契約をする前の段階で必ず貸し主に確認しておきましょう。

同様に、再契約が可能か否かも事前に確認しておきましょう。

定期借家の場合、再契約が可能かどうかは物件次第となります。

大家によっては、再契約を歓迎してくれることもありますし、中にはどれほど交渉しても再契約できない場合もあります。

例えば、取り壊し予定のある物件の場合、借り主がいくら交渉しても、再契約はできません。

定期借家を借りる場合、契約終了後には退去することが原則です。

再契約できる物件を探しているのであれば、事前に貸し主から再契約ができるか否かを聞いておきましょう。

賃料の増減はあるのか?


定期借家をこれから借りるという場合、必ず賃料の増減に関して特約があるのか、確認しておいてください。

というのも、定期借家の契約書に賃料の増減について特約があると、その特約に従って賃料が変わる恐れがあるからです。

例えば、最初の数ヶ月は相場よりも安い賃料だけれど、それ以降は相場よりも高い賃料を請求するなどの特約があると、結果的に高い賃料を払うことになってしまいます。

後々になってトラブルにならないように、定期借家の契約書には隅々までチェックしましょう。

特に賃料に関する特約には注意を払ってください。

定期借家契約まとめ

今回は定期借家契約のメリットやデメリット、注意点などを解説しました。

定期借家契約は、賃貸借契約と違って更新のない契約となります。

そのため、契約が終了すると、原則としては自動更新されず、借り主はそのまま退去しないといけません。

そのため、長期での利用を前提にしている方の場合、再契約ができるのか、事前に確認しておきましょう。

もともと短期での利用を前提にしている方の場合、相場よりも安く、更新料や礼金がかからないなど、定期借家は経済的なメリットの多い物件です。

素行不良な住人の再契約を断っている物件ともなると、住人のマナーも良く、迷惑行為に悩まされることなく快適に住めるでしょう。

更新がないので、貸し主としても空き物件を有効活用できるというメリットがあります。

ただし、更新がないことを契約書として残さないといけないなど、注意点も多いです。

空き物件を定期借家として用いて有効活用したいと考えているのであれば、契約の注意点をよく守った上で利用しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。