マンションの寿命はどれくらい?建替えに必要な4つ段階と事業方式

国土交通省が発表しているデータによると、平成28年末時点で日本全国にあるマンションのストック数は633.5万戸あります。

そのうち106万戸が旧耐震基準で建てられたマンションになっており、築30年以上のマンションが172.7万戸にものぼっています。

しかし、平成28年4月時点でのマンションの建替え実施状況は準備中のマンションを合わせても252戸にとどまっています。

旧耐震基準のマンションは耐震性の問題があり、間取りや設備が現在の生活スタイルにあわなくなってきている現状があります。

また、築年数の古いマンションは住民の高齢化、空室の増加が懸念されてり、建て替えがひとつの選択肢としてあげられています。

この記事ではマンションの建替えの方法について詳しく解説をしていきます。

マンションの寿命はどれくらい?

古くなったマンションに住んでいる方は、どれくらいの年数で建替えが必要なのかを考えることがあるでしょう。

しかし基本的に、マンションの寿命は一概に「何年」と言えないのが現状です。

マンションの建築技術、構造、立地によっても変わりますし、大規模修繕が計画的に行われているかなど、マンションの管理状態でも違います。

鉄骨鉄筋コンクリートの法定耐用年数は47年ですが、これは税法からみた基準であり、実際の寿命とは関係がありません。

あとどれくらい住めるかを判断するには、専門家に建物の診断してもらい、マンションの状態を正確に把握することが大切であると言えます。

次に建替えを検討する際に必要な4つの段階を説明していきます。

これは区分所有法に基づいたマンションの建替え決議を行う方法になりますが、これとは別に、区分所有者全員の合意による建替えの方法もあります。

(1)準備段階

区分所有者が建て替えに向けての勉強会を発足させ、専門家から情報を収集して、マンションの建て替えを提起するための検討を行う段階です。

その後検討した内容を理事会に提起し、集会の決議へとつなげていきます。

(2)検討段階

マンションの建て替えをするか、修繕や改修をするか比較検討する段階です。

管理組合で検討組織の設置を行い、専門家の意見を交えながらマンションの再生方法の検討を行います。

検討した内容を理事会が議案として提起し、集会での決議を行います。

集会で建て替えに向けた合意が得られなかった場合は、修繕や改修の実施に向けた計画の検討を行います。

(3)計画段階

管理組合がマンションの建て替え計画を本格的に検討する段階です。

マンションの建替え実施にむけたデベロッパーの選定や費用面などの打ち合わせを行います。

また、マンションの住民と意見交換を行い、反対者がいた場合の対応を行います。

区分所有者および議決権の各5分の4以上の決議による賛成があれば建替え決議が成立します。

なお、建替え決議集会の要件ですが、建替え決議集会の開催日の2ヶ月前までに招集通知を出す必要があります。

さらに1ヶ月前までに招集通知の記載内容について説明会を開く必要があります。

(4)実施段階


マンション建替組合の設立、権利変換計画を作成して実際に建替えを行います。

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建替えが終わり新しい住居への入居と新しいマンションの管理組合を設立して建替え事業は終了となります。

建替えの事業方式について

建替えの事業方式には様々な形があり、どの方式があっているかはそのマンションの特性や規模、管理組合の状況などにより違ってきます。

マンションの建替えの主な事業方式は「任意事業」とマンション建替え円滑化法に基づく「マンション建替事業」があります。

任意事業は民間事業者(デベロッパー)による買取り方式(等価交換方式)になります。

一方、マンション建替事業には「組合施工方式」と「個人施行方式」があります。

1.任意事業・等価交換方式

デベロッパー(開発業者)と契約し、そのデベロッパーが事業主体となって建て替えを行います。区分所有法の建替え決議を経ずに、全員が同意して建て替えを行います。

区分所有者が土地の持分を出資し、その土地の上にデベロッパーがマンションを建設して、それぞれの出資比率に応じた占有面積を双方が取得します。

これを「等価交換方式」と言います。

土地の容積率に余裕があり、建替え前のマンションよりも床面積が大きくなることが前提になります。

マンションの所有者は新しい住居を取得し、デベロッパーは増えた分の部屋を売却することで利益を得ることができます。

デベロッパーが中心となって手続きを行うため、区分所有者の建替え事業におけるリスクが少なく、建て替えにかかる手間や期間が短縮できるメリットがあります。

ただし、マンション建替円滑化法が抵当権をそのまま次の住居へ引き継ぐことができるのとは対照的に、等価交換方式の場合は、抵当権者の抹消や付け替え等の同意が必要になります。また反対者が出た場合の事業の安定性に問題が生じる心配もあります。

2.組合施工


マンション建替円滑化法に基づくマンション建替事業です。

組合施工方式の場合は、まず組合の議決権および持分割合の各5分の4以上の決議が必要になります。

次に建替え参加者の4分の3以上の同意を得てマンション建替組合を設立し、定款と事業計画を作成の上、都道府県知事に申請を行い、認可を得る事が必要です。

建替えに参加しない区分所有者に対しては、売渡請求権を行使して組合が権利を買い取ることができます。

その後、権利変換計画を作成し都道府県知事の認可を受けます。権利変換計画に反対するものが出た場合は、組合が権利を買い取ることができます。

マンション建替組合は法人格を有することで、金融機関からの融資や諸契約作業をスムーズに進めることができるメリットがあります。

建て替えが終わると組合が区分所有権、敷地利用権等の一括登記を行うため、登記のための複雑な手続きが解消されるメリットがあります。

民間の事業者(デベロッパー)も参加組合員として参加することができます。

3.個人施行

個人施行は組合施工と同じく、マンション建替え円滑化法に基づくマンション建替事業です。

区分所有者や抵当権者などを含む全員の賛成が必要になります。

選定された個人施行者が都道府県知事に事業計画の申請を行い、認可を得ます。つぎに組合施工の場合と同じく権利変換計画を作成し都道府県知事の認可を得る事が必要です。

その後権利変換を行い、既存のマンションの取り壊し、新しいマンションの建設へ進みます。

区分所有者が個人施行者になることもできますが、民間の事業者も個人施行者として参加することができるため、事業リスクを考えるとデベロッパーが個人施行者になる場合が多いのが特徴です。

組合手続きよりも手続きが簡素化され、事業計画の縦覧等の手続きが不要になります。またデベロッパーが個人施行者になることで、建替え事業にかかわるリスクを減らすことができます。

区分所有者等の全員の合意が必要なため、反対者が出た場合の事業の安定性に心配があります。

次に事業方式に関連する内容の説明をします。

1.組合施工と個人施行の違い


組合施工の場合は組合の議決権および持分割合の各5分の4以上の決議が必要になるのに対し、個人施行の場合は全員の合意が必要になります。

個人施行は組合施工に比べて、組合の設立などの処々の手続きに時間を要する時間が簡略化することできるため、規模が小さいマンションや、普段から意思の疎通ができているマンションであれば個人施行の方が適していると言えます。

ただし、個人施行の場合は全員の合意が必要なため、権利変換を行う段階になって反対者が出た場合に問題が発生します。

2.権利変換計画とは

マンション建替え円滑化法が施行されるまでは、マンションを取り壊した際に区分所有権が一時消滅してしまうために、区分所有権を担保にしている金融機関の同意をとりつける必要がありました。

金融機関の同意が得られない場合、建て替えの障害になるため、円滑化法の施行後は建替え前の区分所有権をそのまま建替え後のマンションに移行できるようになりました。

これにより、権利が消滅する期間がなく、抵当権をそのまま新しい住居に移行できるため、住宅ローンを完済する必要がありません。

権利変換計画は組合員の5分の4以上の賛成(個人施行の場合は全員の賛成)と、都道府県知事の認可を受ける必要があります。

なお建替え組合は、権利変換計画に賛成しなかった組合員に対して、区分所有権および敷地利用権の売り渡しを請求し時価で買い取ることできます。

3.売り渡し請求

建替えに賛成した区分所有者や建替え事業に参加するデベロッパーは建替えに参加しない区分所有者に対して、区分所有権および敷地利用権の売り渡しを請求することができます。

(区分所有法63条4項)

この売渡請求権を行使し相手方に到達すると、参加しない区分所有者の区分所有権および敷地利用権は時価による売買契約が成立します。

不参加者に対しての承諾の意思確認は必要なく、自動的に引き渡し義務が発生し、建物を明け渡さなくてはなりません。

明け渡し期限には猶予があり、立ち退き代金の支払いまたは提供の日から1年を超えない範囲で時間的猶予を与えられます。

なお、建替決議が成立してから2ヶ月以内にもう一度建て替えに参加するかどうかの確認を書面にて行います。

期限内に不参加、または回答がなかった場合は、期間満了から2ヶ月以内に売り渡しの請求を行うことになります。

4.還元率


マンションを建て替えた際に、どれだけの費用(持ち出し)が必要になるのかは「還元率」で決まります。

建替え前と建替え後の所有床面積が同じの場合、還元率は100%になります。

これであれば持ち出しがなくマンションを取得することができます。

ただし、容積率の余剰がないなどの理由で十分な面積が取れない場合、還元率が100%を切ることになり不足分を自己負担する必要があります。

5.マンションの仮住まい費用

同じマンションの敷地内に新しいマンションの建設が可能であれば、仮住まい費用は必要ありませんが、中々そうはいきません。

仮住まいの費用を事業費として負担することも可能ですが、結局各自が負担することに変わりはないため、自己負担となることが殆どです。

仮住まいの費用も計算に入れたうえで、建替えに向けた準備を行いましょう。

 

まとめ

実際にマンションの建替えをするためには、多くの時間を要し、正確な調査と住人同士での丁寧な話し合いが求められます。

建替えの話が持ちあがったときには、積極的に集会や勉強会に参加をして情報を収集しましょう。

また、マンションの建替えを円滑にすすめるためには、合意形成を作り出すための環境作りが重要になります。

そのためにも、住人だけではなく専門家の意見を交えながら価値観を共有していくことが、建替えを進めていくための重要な要素になります。

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