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面積が広い土地というのは一見すると、どんな建物でも建てられそうな良好な土地です。
しかし、土地が広いからといって、本当に自由に背が高い住宅を建てられるとは限りません。
その土地の容積率を調べておかないと、土地を購入してから後悔することになりかねません。
いくら所有する土地の上だからといって、住宅というのは好き勝手にデザインできるものではないのです。
住宅を建てるためには、その土地のルールに従わないといけないのですね。
容積率は、住宅を建てるにあたって守るべきルールの一つです。
今回は容積率とは何か、その調べ方や緩和の方法などについて解説します。
もくじ
容積率とは?計算方法や仕組みを不動産のプロが解説
容積率とは、敷地面積に対する住宅の延べ床面積の割合を数値化したものです。
延べ床面積というのは住宅の各フロアの面積を総計した面積のことです。
例えば、1階の面積が20㎡、2階の面積が20㎡の2階建ての住宅の場合、延べ床面積は1階と2階の合計値である40㎡となります。
容積率は、この延べ床面積の上限を示した割合となります。
仮に敷地面積が200㎡で、容積率が200%の場合、この土地に建てられる住宅の延べ床面積の最大値は400㎡までとなるでしょう。
2階建ての建物ならば、1階が200㎡、2階も200㎡にすることで、容積率を最大限に活かした住宅を建てられますね。
容積率という制限があるため、いくら土地の所有者が望んだところで、容積率を超えるほど階数が多い住宅を建てられません。
どうしても背の高い住宅を建てたいなら、容積率が大きい土地を購入するしかないでしょう。
果たしてそのような土地はどこにあるのでしょうか?
用途地域と指定容積率について
それぞれの地域には、その地域の役割や環境を守るためのルールがあります。
閑静な住宅街にはその地域に相応しいルールがあり、繁華街にはその地域に相応しいルールがあるということですね。
このような地域ごとのルールのことを用途地域と呼びます。
土地の所有者は常にこの用途地域のルールに従って土地を使用し、住宅を建てることになります。
そして、容積率は用途地域の種類によって制限に違いがあるので注意しましょう。
容積率は、各用途地域によって下限と上限が設定されています。
そのため、背の高い住宅を建てたいなら、上限が緩い用途地域で土地を探さないといけないということですね。
このような用途地域によって制限された容積率のことを指定容積率と呼びます。
指定容積率は、第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域、そして田園住居地域ならば50%から200%、第一種中高層住居専用地域と第二種中高層住居専用地域ならば100%から500%、といった具合で制限されます。
第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域は、背の低い住宅が並び立つエリアということもあってか、容積率も低く設定されています。
そのため、この地域では背の高い住宅は建てられません。
他方で第一種中高層住居専用地域などは、背の高い住宅も建てられるエリアです。この地域ならば、大きめのマンションなども建てられます。
スポンサードリンク続いて、第一種住居地域と第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域の場合、指定容積率は100%から500%。
商業地域は200%から1300%、工業地域と工業専用地域は100%から400%、となります。
以上のように、用途地域によって指定容積率がだいぶ変わってきます。商業地域ともなると、容積率が1000%を超えるケースもあるほどなのですね。
ただし、容積率が大きいエリアというのは、土地が狭いことが多いです。たとえ土地が広くても、建ぺい率が低いと、やはり使用できる敷地面積も狭くなってしまうでしょう。
そのため、容積率を確認する際には、同時に建ぺい率もチェックしておきましょう。
用途地域については下記の記事で詳しく解説をしています。
関連記事⇒用途地域とは?プロが教える家を建てる時の用途地域の重要性と土地選びのポイント
建ぺい率とは?
建ぺい率とは、敷地面積に対して住宅の建築面積はいくらになるのかの割合を示した数値です。
要するに土地の面積に対して、住宅を建てるのに使って良い面積の割合ということですね。
例えば、土地の敷地面積が200㎡で、建ぺい率が60%ならば、住宅の建築面積の上限は120㎡となります。
住宅を建てる際には、この120㎡の範囲内で建てることになります。
例えば敷地面積が100㎡で、建ぺい率が80%、容積率が200%の場合、建築面積が80㎡で延べ床面積は200㎡となりますね。
確かに使える面積は狭いかもしれませんが、住宅の背を高くすることで、使用できる空間を多めに確保できるでしょう。
対して敷地面積が100㎡で建ぺい率が90%と高い一方で、容積率が100%と低い場合、建築面積は90㎡ですが延べ床面積は100㎡が上限となります。
これではせっかく土地を広く活用できても、背の高い住宅は建てられ難いですね。
広々とした住宅や背の高い住宅を建てる際には、容積率と建ぺい率、両方の数値をしっかりとチェックしておきましょう。
関連記事⇒建物の面積には限界がある?計算方法と建ぺい率とは何かをプロが解説
前面道路の幅員と容積率
容積率は、用途地域によって指定容積率が異なります。
では、用途地域だけ調べておけば良いのかというと、そのようなことはありません。
たとえ都市計画で定めた容積率が高くても、前面道路の幅員によって決められた容積率が小さければ、容積率はその小さい方の容積率を適用されてしまいます。
敷地の前面道路の幅員が12m未満だった場合、指定容積率が定めた下限よりもさらに容積率が狭められてしまうことがあるのですね。
例えば、第一種中高層住居専用地域の場合、前面道路の幅員に対してかける数値は40%となります。
この時、仮に前面道路が5mとすると、5×40%=200%となります。要するに容積率は200%ということです。
たとえ第一種中高層住居専用地域で、容積率300%の土地を手に入れることができても、前面道路の幅員が原因で200%まで制限されてしまうと、その制限を受けた分だけ建てられる敷地面積も縮小されてしまいますね。
以上のように、たとえ指定容積率が高い用途地域でも、容積率を制限されてしまうケースが存在します。
もしも容積率が想定よりも低かった場合、容積率を緩和する方法などを探した方が良いでしょう。
容積率の計算方法を不動産のプロが分かりやすく解説
土地に対してどのくらい大きな住宅を建てられるかは、その土地の容積率に依存します。
できるだけ背の高い住宅を建てたいなら、容積率が大きい土地を探した方が良いです。
ただ、容積率はどうやって調べたら良いのでしょうか?
まず容積率の広い土地を求めているのであれば、指定容積率の上限が高めに設定されている用途地域より土地を探しましょう。
いくら土地を探したところで、第一種低層住居専用地域のような、指定容積率が低めに設定されている用途地域では容積率が大きい土地は見つからないでしょう。
その反面、第一種中高層住居専用地域などの指定容積率の上限が高めに設定されている用途地域ならば、容積率が大きい土地も見つけやすいです。
用途地域の指定容積率を参考に、調べるべき用途地域のエリアを絞ったら、次に住宅地図をチェックしてみましょう。
実は容積率は市販されている住宅地図を参考にすることで、調べることができるのですね。
住宅地図には、そのエリアにおける用途地域の種類から公図界、用途地域界、建ぺい率、容積率などの情報がそれぞれに記載されています。
まだ購入予定の土地が決まっていないのであれば、住宅地図のこれらの情報を参考にすることで、希望に合致した土地がどこにあるのかの見当をつけることができます。
住宅地図の情報を手掛かりに土地を探し、お目当ての土地が見つかったら、その土地の住所を各市町村の役場に問い合わせることで詳しい建ぺい率や容積率を確認することができます。
地方自治体によっては、公式サイトで容積率や建ぺい率が記載されているマップをネット上で公開していることがあります。
容積率について更に詳しく知りたい時は、地方自治体の公式サイトをチェックしてみましょう。
注文住宅を建てる時の土地探しについては下記の記事で詳しく解説をしています。
関連記事⇒理想の注文住宅を建てるために!土地探し方のポイントやその後の工程と流れ
容積率を緩和する方法
できるだけ住宅の背を高くし、部屋数を増やしたいなら、容積率が大きい土地がオススメです。
ただ、希望に合致した土地というのはなかなか見つからないものです。
いくら容積率が広い土地が欲しいと願ったところで、見つからなければどこかで妥協するしかないでしょう。
このように、探してみたものの、希望に適した容積率の土地が見つからない場合は、容積率を緩和する方法を模索してみてください。
容積率がある以上、確かに延べ床面積には上限が設定されてしまいます。
しかし、工夫次第では、容積率を緩和させ、住宅のスペースを広くすることができます。
そもそも容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことを指します。
つまり、これを言い換えると、延べ床面積に算入する必要がない部分については、容積率を超えても大丈夫ということなのですね。
この容積率に算入できない部分を利用することで、容積率を緩和させることができます。
例えば、地下の空間などがまさにその典型です。
一定の制限こそ受けますが、容積率に含まれない地下室を設けることで、容積率を緩和することができます。
地下室についてですが、地階である、地盤面から地階の天井までの距離が1m以下、住宅の用途に供されてる、などの条件を満たすことで容積率を緩和できます。
これらの条件を満たしている限りにおいて、住宅の延べ床面積の1/3を上限に地下室の容積率を緩和できます。
仮に延べ床面積が300㎡の住宅の場合、地下室は100㎡が上限になるということですね。
この場合、延べ床面積300㎡に加え、100㎡の地下室を加えることで、延べ床面積の合計は400㎡となります。
容積率を緩和させると、住宅の使用できる空間をかなり広げることができますね。
地下以外にも、容積率を緩和できるものがあります。
例えば、自動車の車庫や自転車置き場、小屋裏や天井裏など。
自動車の車庫や自転車置き場に関してですが、延べ床面積の1/5を上限に緩和することができます。
仮に延べ床面積が200㎡ならば、その1/5は40㎡です。
この40㎡を上限に、車庫や自転車置き場を容積率の計算から省くことができますね。
車庫といってもカーポートやビルトインガレージなど色々あります。
ただ、種類に関係なく、車庫として用いているのであれば、容積率を緩和できます。
他にも、小屋裏や屋根裏などのスペースも、容積率に算入しなくても大丈夫です。
小屋裏や屋根裏を容積率から除外するための条件は、天井の高さが1.4m以下、直下階の床面積の50%が上限、など。
要するに天井が低く、下の階の床面積の半分以下しかスペースが無いなら、小屋裏や屋根裏は容積率から除外できるということですね。
以上のように、容積率といっても、条件を満たせば緩和することが可能です。
たとえ狭い土地に住むことになったとしても、容積率を緩和することで空間を有効活用すれば、広々とした住環境を実現できるでしょう。
容積率が低くても快適な暮らしを送る方法
土地というのは広々としているに越したことはありません。
ただ、すべての人が広々とした土地を手に入れられるわけではありません。
中にはどうしても容積率が低い土地しか選べないこともあるでしょう。
容積率が低いと、確かに低層の住宅になりやすく、広々とした空間を確保し難くなります。
しかし、工夫次第では、宅内に開放感のある空間を実現することもできます。
例えば、リビングルームに吹き抜けの空間を作ると、開放感のある住宅になりますよね。
吹き抜けの空間には床がありませんので、二階部分のフロアを大きくしても、吹き抜けで床が無くなった分だけ容積率を抑えることができます。
一見すると、容積率をオーバーしているように見える大きな住宅でも、中に吹き抜けの空間を作ることで、容積率を無駄遣いせずに大きな住宅を建てられるということですね。
さらに、階段といっても外部階段は床面積に計上されないので、容積率から省けるという利点があります。
外部階段を設置することで、容積率を有効活用することができるということですね。
他にも、容積率に算入されない地下などを設置すれば、容積率が低くても広々とした住宅を設計できるでしょう。
たとえ容積率が低い土地でも、工夫次第では開放的な住宅や部屋数の多い住宅を建てることができます。
どうしても容積率が低い土地しか見つからない時は、容積率を緩和させる方法を模索してみてください。
カーポートの注意点~車庫は容積率に算入しなくて大丈夫
一定の条件こそありますが、種類を問わず、車庫は容積率に算入しなくても大丈夫です。
ただし、カーポートに関して言うと、注意点があります。それは建ぺい率です。
たとえ容積率を緩和できても、カーポートは建ぺい率を緩和できません。
カーポートに限らず、屋根や柱、壁が存在する建物は建築物扱いされるので、建ぺい率に算入されるのですね。
ただし、外壁のない部分が連続で4m以上ある、柱の間隔は2m以上、天井の高さが2.1m以上、1階にある、などの条件を満たすとカーポートの建ぺい率を緩和することができます。
以上のように、容積率が緩和されるからといって、建ぺい率が緩和されるとは限りません。
容積率を緩和するための方策を考える際には、同時に建ぺい率も緩和できるのか、建築士とよく相談しておきましょう。
容積率まとめ
敷地面積に対する延べ床面積の割合を示した容積率は、数値が大きければ大きいほど、背の高い住宅を建てられます。
ただし、容積率は用途地域によって指定容積率に違いがあるので注意してください。
指定容積率が高いエリアで、住宅地図などを参考にすることで、容積率の大きい土地を探せます。
もしも探してみた結果、容積率が大きい土地が見つからないようであれば、容積率を緩和させてみましょう。
地下室を設置するなど、容積率を緩和させるための措置を講じることで、容積率が低い土地でも開放的で快適な住宅を建てられます。
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