事故物件を売るときの基礎知識と注意したい5つのポイント

日本では年間に2万人以上の方が自殺で亡くなっており、高齢化と核家族化により孤独死をしている方も多くなっています。

不動産では一般的に自殺、孤独死などがあった物件を「事故物件」と言いますが、もし事故物件を売却するとき、どういったことに注意しなければならないのか、説明をしていきたいと思います。

事故物件とは

事故物件とは土地や建物に、殺人、自殺、火災による死亡、孤独死、災害による死亡などにより、瑕疵(欠陥)がある不動産のことを指します。

これは土地や建物内に留まらず、物件の近隣に反社会的勢力の施設がある、葬祭場がある、火葬場がある、墓地がある、産業廃棄物やゴミ処理施設があるなどの場合も広義の心理的瑕疵に含まれます。

ただし、病死、自然死、前所有者の失踪や夜逃げ、刑事事件で逮捕されたなど、一見広義の心理的瑕疵に該当するものであっても事故物件に含まれないものもあります。

しかし、例え自然死や病死であっても、長期間発見されていなかったなどの理由がある場合は、売却の際に告知する方が後々のトラブルを避ける上でも好ましいと言えます。

心理的瑕疵とは

心理的瑕疵は、心理的に抵抗がある、それによって負担を感じることを言います。

先程説明した事故物件の場合、住宅内で自殺があった物件を購入するのは、感情的に良い気分ではありませんよね。
こういった心理的瑕疵がある物件は、あらかじめ買主に告知をする必要があります。

つまり、購入する前に知っていれば、購入をしなかったであろうという事実を、きちんと説明しなければならないのです。

告知義務

土地や建物に心理的瑕疵に該当する事由があった場合、売主や不動産会社は買主に告知する義務があります。

もし告知義務を怠り取引が成立した後に問題が発覚した場合、売主には瑕疵担保責任が発生し、不動産会社は重要事項説明義務違反になります。

この場合、売主には契約の解除や損害賠償の請求が、不動産業者には業務停止処分などの思い行政処分を科されることになります。

また、売買契約の際に瑕疵担保責任を免責する特約を結んでいても、心理的瑕疵による責任を免れることはできませんので注意してください。

心理的瑕疵の期間

心理的瑕疵には期間の定めはなく、何年前までの事故について説明をしなければならないというものは存在しません。

この場合、判断をする材料として民事裁判での判例を参考にすることが一般的です。
賃貸よりも売買の方が心理的瑕疵責任に問われる期間が長く、過去の判例では50年前に建物であった猟奇的な殺人事件について心理的瑕疵が存在し、売主が瑕疵担保責任を負う判決が出ています。

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心理的瑕疵に該当するかどうかは、いつ起こったか、どれくらいの期間が経過しているか、どういう内容か、地域や近隣にどれだけ知れ渡っているかで判断されます。

心理的瑕疵が及ぶ範囲


例えば敷地内の倉庫で自殺があり、住宅を残し倉庫だけを壊して売却する場合はどうでしょうか?

これは心理的瑕疵が残るため、告知をしなければ責任を問われることになります。
例え建物がなくても、周囲に住んでいる方の記憶に残っているような状態だと、心理的瑕疵として認められるからです。

また、マンションの場合はどこまでの範囲になるかですが、一般的に建物内、専用部分(室内)、共用部分(通路、エレベータ―、エントランスなど)と敷地内になります。

例えばマンションでの飛び降り自殺や他の部屋で殺人があった場合などはどうでしょうか?この場合も後々のトラブルのことを考えて告知をしておいた方が良いでしょう。

次に、事故物件を売却する場合の手順を説明します。

不動産業者に相談

売却をするにあたって、まず不動産業者に相談をしてください。
その際に、物件の状態や瑕疵の内容、ご自身の事情などをできるだけ細かく伝えてください。

不動産業者の中には事故物件の取り扱いを嫌がる会社もあります。その場合は別の不動産業者にも相談をしてください。

売却査定の依頼


次に不動産業者に物件の売却査定を依頼してください。
どのくらいの価格で売れるのか、また売買の際に必要な経費の概算なども出してもらってください。

できれば複数の不動産業者に見積もりを出してもらい、比較検討する方が良いでしょう。

媒介契約を結ぶ

査定の結果、売買価格が決まったら次に不動産業者と媒介契約を結びます。事故物件の場合は、窓口を一本化するためにも専任で任せた方が好ましいでしょう。

購入希望者と条件の交渉

売り出した後に、購入希望者が現れた場合、条件などの確認を行います。価格面や条件で折り合いがつけば、契約に向けての準備が始まります。

契約、物件の引き渡し

条件が整えば、不動産会社が重要事項説明書と売買契約書を作成します。
書面の作成時に告知事項についてきちんと記載があるか確認をしてください。

問題が無ければ書類の説明を受け、売主、買主が揃って署名捺印を行います。
契約後は、引き渡しの準備を行い、最後に決済を行って終了となります。

事故物件の一連の契約作業は、告知事項の説明以外には通常の不動産取引となんら変わりありません。

次に事故物件を売却する場合に、いくつかの注意点がありますので説明をします。

1.物件の売り方

例えば住宅内で自殺があった場合、古い建物であれば解体して更地として売る方法があります。

また部屋で死亡して発見に時間がかかり、部屋の修繕や清掃が必要な状態の場合は、その部屋のみリフォームやリノベーションをして売りだす方法もあります。

しかし、建物の解体やリフォームを行っても、心理的瑕疵がなくなるわけではないので注意が必要です。

2.価格設定


事故物件を売却する場合、通常の価格で売ることはまず難しいと考えてください。
わざわざ事故物件を好んで購入する人は少なく、当然需要は多くないので、ある程度通常の売却価格よりも値段が下がることは覚悟しておく必要があります。

事故物件の価格設定は、通常の不動産価格の2割から3割ほど値下がりしたものになります。
また、瑕疵の内容によっては5割以上値下がりした価格になる場合もあります。

価格を下げる理由は、心理的瑕疵がある以上、通常の価格で売却をすることは難しく、値段を下げることによって心理的瑕疵の損失部分を埋め合わせして、購買をしやすくするためです。

3.不動産会社の選び方

物件の売却査定の際は、複数の不動産会社に査定を依頼して、売却価格を出してもらってください。
その方が適正価格を知ることができ、また不動産会社の特徴もつかめるからです。

しかし、募集をかける窓口は一本に絞った方が良いでしょう。
事故物件の売買は特殊な案件だけに、信頼のおける不動産会社と専任媒介または専属専任媒介を結んで、任せるのが一番良い方法だからです。

一般媒介の場合は、複数の不動産会社に依頼を出すことで、広く消費者に告知することができますが、事故物件の場合はデメリットにもなり得ます。
事情をよく把握していない不動産会社が、安易に安いという理由だけでお客様に物件をすすめて、後々トラブルになることが考えられるからです。

その点、専任媒介であれば、専任された不動産会社が売主の事情をくみ取り、責任を持って仕事に取組んでくれますし、お客様から問い合わせがあった場合に、的確な判断ができ相談もしやすいというメリットがあります。

4.物件広告の方法

売主にとって事故物件を売り出す時に心配なのが、心理的瑕疵の内容が必要以上に広まってしまうことです。

近隣にだけで留まっていた内容が、広告を出すことで広まってしまう可能性があります。
特に事故物件の場合は、近隣の相場よりも安く売りだす場合が多いので、消費者も不審に感じます。

通常、不動産会社は不動産情報誌や折り込み広告、インターネットなどを使って宣伝広告を行います。
しかし事故物件の場合は、宣伝広告の方法について不動産会社と事前に打ち合わせをした上で、募集をおこなった方が良いでしょう。

また、募集を行っている物件で「告知事項あり」や「心理的瑕疵あり」といった形で、広告に表示をしているものがあります。
これは事前にトラブルを避けるために不動産業者が自主的に行っていることであり、広告に心理的瑕疵に関しての表示義務はありませんので、このあたりもよく相談をしてください。

心理的瑕疵の告知は、重要事項の説明の際に行うことが必要ですが、購入を決める重要な要素になりますので、早い段階で告知をしてもらうように不動産会社に伝えましょう。

5.すぐに売りたい場合


事情があってすぐにでも物件を売ってしまいたい、できるだけ周囲に知られたくないといった理由がある場合は、不動産会社に物件を買取ってもらうことも視野に入れましょう。
不動産会社に買い取ってもらう場合、売買価格の6割から7割ほどが買取りの相場になります。

事故物件の場合は価格的にかなり安くなりますが、売主の中には「価格は言い値で良いからとにかく売ってしまいたい」という方も少なからずいます。
もし売却を急ぐ場合は、買取りの相談をしてみてください。

最近では事故物件を専門に買取りしている業者もあり、インターネットで無料査定ができるサイトもありますので、一度利用してみるのも良いでしょう。

まとめ

事故物件を売却する場合に、通常の不動産取引と同様の考え方をするのは避けなければなりません。

心理的瑕疵に該当する事由がある以上、特殊な事案の取引になると考えるべきです。「大した理由ではないから大丈夫だろう」、「時間が経っているから価値は下がらないはず」と考えるのは危険です。

事故物件の売却に対して、どうしてもマイナス面が強調されてしまいますが、売り出し方や価格設定によって、買い手が見つかることもありますので、不動産会社と良く相談をして、最適な売却方法を見つけてください。

心理的瑕疵は人が感じる部分になるので、決まった内容や期限はありません。告知するべきことをきちんと伝えて、信義誠実の原則に基づいて、売却をすすめていきましょう。

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